岡山市立加茂小学校所蔵の埴輪
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造山古墳に関連する言い伝えの事項をインタビューを通じて掘り起こすプロジェクトを進めている。今回は、加茂小学校に埴輪が所蔵されているとのことで見学させていただいた。
1.日時:2022.4.7.
2.場所:岡山市北区津寺 岡山市立加茂小学校
3.インタビュー:山本真由美教頭先生
4.インタビューアー:清家章、角谷賢二
5.内容
(1)角谷が小学校のころ約60数年前、階段のコーナーの棚に埴輪の破片が収められていた。造山古墳から出土した埴輪片であった。それらを確認のため、岡山大学の清家章教授と一緒に調査のため訪問した。対応いただいたのは、教頭の山本真由美先生である。
(2)加茂小学校では、その後新しい棚3つに多くの出土品が玄関入り口とローカに展示されていた。校舎・体育館の建設時は1987年から1988年ごろであるが、その時の多くの出土品が加えられていた。
(3)その中で時に興味があったのが円筒埴輪である。山本先生にいろいろとお聞きしたが、その由来についてはご存じなかった。過去の校長先生にも聞いていただいたが、誰も知らなかった。
(4)後日山本先生から、加茂小学校創立博周年記念誌に掲載されているとのことであった。それによると、学校の宝もの「校舎・体育館建設地から発掘された津寺遺跡」5世紀末の円筒埴輪と記載されていた。
(5)一方、清家先生によると、この埴輪の形からして造山古墳群からの出土ではないとのことであった。
(6)さらに、岡山市埋蔵文化財センターの安川満氏にお聞きした。そののコメントは次の通りである。 この埴輪の最大の特徴は、外面の調整(工具痕)が2次調整(突帯貼り付け後に突帯間の器面を整える調整)を省略して、1次調整(突帯貼り付け前の器面調整)の縦方向のハケメを残している点です。写真からは判断しづらいですが、突帯間の幅も一様ではないものも出てきます。これは、突帯を張り付ける際に、もともと専用の工具で印をつけて割り付けていたのですが、その工程も省略されるからです。こうした特徴は、5世紀末以降に出てくるものです。造山やその倍塚(5世紀前半から中頃)はもちろん、作山(5世紀中頃)、小造山・宿寺山、新庄車塚(5世紀後半)などより新しい埴輪の特徴です。 こうした特徴の埴輪を持つ古墳は周辺も含めると多くあり、埴輪から出土古墳を推定することは難しいです。ただ、器壁が比較的薄く、この時期の埴輪にしては丁寧に作られている印象は受けますので、この周辺の埴輪である可能性が高いと思います。 同時代ではありますが倉敷市の天狗山古墳や二万大塚古墳ではありません。(真備地域の同時期の埴輪は非常に特徴的)
(7)はたして、加茂小学校舎地から出土したのか、近辺の古墳あるいは遺跡から出土したのかいまだに確証がつかめていない。
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