安川満氏インタビュー(10)-伝・千足古墳出土 の巴形銅器鏡とだ龍鏡
造山古墳に関連する言い伝えの事項をインタビューを通じて掘り起こすプロジェクトを進めている。今回は、安川満氏に千足の小野氏から寄贈を受けた巴形銅器とだ龍鏡について語っていただいた。
1.日時:2022.7.11.
2.場所:岡山市埋蔵文化財センター
3.インタビュー :安川満 54歳
4.インタビューアー:角谷賢二 72歳
5.内容:
(1)板野様、小野様のインタビューの時に小野家に伝わる鏡、巴銅器などを岡山市に寄贈したとの情報を受けて、岡山市埋蔵文化センターの所長安川満氏を訪問して説明を受けた。
(2)これは、地元の方から千足古墳から出土したものとして寄贈していただいた。
巴形銅器
だ龍鏡
(3)千足古墳では、明治時代の終わりごろ盗掘でいろいろなものが出土した。盗掘された一部について、東京国立博物館の学者(和田千吉)が来て調査した。それを学会誌に報告している。
(4)そこに巴形銅器が出土したとの記載がある。今回のものは、それと同じ形式なので千足古墳からの出土したものに間違いはない。
(5)巴形銅器については、東京国立博物館から地元に返還されたとの記録になっている。ただし、これがそれではない。
(6)盗掘された当時何人かで掘って出土品を山分けしたのではないか。その内の一人が倉敷警察に届け出た。それを聞いた和田千吉が調査にきた。和田千吉が考古学雑誌に報告している。
(7)巴形銅器は、今回の寄贈品と同じ形式であった。しかし、だ龍鏡は和田千吉の調査したものとは異なる。この巴形銅器は、龍の胴体がうねったように描かれている。それを形式化して直線で描かれている。だ龍鏡は、銅の質が異なり、千足古墳から出土したものかどうか疑問がある。形式的にはだ龍鏡と呼んでいる。
(8)巴形銅器は、木製の盾に金具として使われていた。千足古墳は、当時古墳に埋める最後の段階で武具類を納めている。その時に盾もあったのではないか。
(9)これらの岡山市教育委員会文化財課による調査結果は、2000年に発行されている報告書に記載されている。
「造山第2号古墳-赴 伝・千足古墳出土遺物」P93~P98、2000
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